2012年9月2日日曜日

せんだい演劇工房[10-BOX]開箱10周年

いつもそうとうお世話になっている、せんだい演劇工房[10-BOX]が10周年を迎えたそうです。
で、「ウッドデッキで雄勝法印神楽をやるもんね〜」とY巻工房長に自慢されたので、仕事を休みにして見に行きました。

いつもは車で行っちゃうところを今日はバス。お、「古典芸能ふれあい祭」とな。卸町芝能「殺生石」の縦看も立っています。この卸町公園の芝生の上で演能するらしいです。
それにしても、あんまり10周年記念事業は強調されていない感じですかね。

能-BOXや鳩の家で古典芸能ワークショップや能面の展示などもありましたが、支障がありそうなので写真省略。1週間、仕舞のお稽古した未就学児から小学生までの発表会もあり、その吸収の良さに驚きました。ちゃんと立派な袴をつけて舞台に立っていました。
こんな小さい時からお能なんかに触れる機会をもった人がたくさん育っていくと、S市の古典芸能鑑賞者層は分厚いものになっていくでしょうね。

 いよいよ、10-BOX中庭のウッドデッキ(例の神楽舞台が組まれています)で、雄勝法印神楽の社中による湯立て神事がはじまりました。特大金目鯛が2尾お供えしてありました。Y巻工房長ほかスタッフの代表がお祓いしてもらっていました。東北を襲った禍々しい憑きものを取り払い、10年以後の10-BOXの繁栄をお祈りするのだと。雄勝の神様どうぞよろしくお願いします。

「雄勝法印神楽」は、道具のほとんどを津波にさらわれて存続の危機にも立たされたのでしたが、様々な復興支援でなんとか一通りの支度ができるようになったとか。神楽面は、元の写真などをもとに奈良の文化財研究所(奈良国立博とは言ってなかったようですが)に復元を依頼中とのことでした。満身創痍の状況にありながらも、震災の後、地元や各地で元気な気概を示しつつ演じていらしたのですが、機会がつかめず、虫六は見にいけなかったので、とても楽しみでした。


 今日の出し物は、「魔王退治」と「日本武尊(ヤマトタケル)」。
民「魔王って奴らが悪さをして参ってんですよー。」
スサノウ尊「なになに、そんじゃ俺が退治してやるよ」

 道化の魔王たち。1メール半くらいの青竹をもってトライアングルな舞。お囃子も調子よく、楽しい演舞です。よくこんがらないで踊れますねー。

そこに「おらおらーっ」と、スサノウ尊登場。
四角い神楽舞台が、突如格闘技のリングに早変わり(?)、場外乱闘の迫力です。
うりょ!
(太鼓方、急に駆け出す!)
たのしくやっていた魔王たち、ぼこぼこにされています。
一般のお客さんまで舞台に上げられて、場内がわっはっはーと沸きました。
(熱戦をよそに、外れかけたピンマイクをすばやく取り外す太鼓方!すみません、余計なところに目を奪われてしまいました)


 もう1番は「日本武尊」
美しい岩長姫がしずしずと可憐に踊ります。謡の声がときどき裏声になって、それが可愛い。(そこは反応するところではないのかもしれませんが…)
しかし、なんたら「三種の神器」の宝剣《天叢剣》を盗んで行っちゃった。じつは黒いヤツでした。


 宝剣を盗まれたことに気がついた日本武尊。怒り狂って踊ります。
「アンニャロー、赦さんぞー!!!」幣束とぶとぶ。
囃子方の荒拍子もド迫力です。

 鬼面に付け替えて形相も装束も変わった岩長姫(実は悪鬼、蛇形に変身です)登場。太鼓を足場にして、櫓の上に。
10-BOXの狭い中庭いっぱいにセットされた神楽舞台の、四方の柱ごと櫓がたわんで、おいおいってくらいに迫力がありました。

岩長姫、どや顔で日本武尊に対峙。それにしても、しなやかな身のこなしです!

櫓の上で仁王立ちの岩長姫。

蛇なので(?)櫓に絡みついて宙返り、へへへのへ〜。
怒る日本武尊。 


 だんだん、あたりが暗くなってきた。

内村航平も真っ青のぶら下がりキック。C難度!

地上に降りても、幣束が飛び散る激しい戦いでしたが、ついにやられてしまいました。
なんていうか、虫六、勝手に岩長姫の応援してました。
(ちなみに格闘技ではありません。素晴らしい伝統芸能です!型があって演じられています!)

 首を取られた岩長姫。
面を刀で拾って表現しております。
しかも!この面を取り外して姫が去るときに分かったのですが、岩長姫を舞われていたのは伊藤会長でした!!やっぱりなー、動きが違いましたな。うわー、儲けた気分!嬉しいぞ。
岩長姫(の姿を借りた悪鬼)を討ち取った日本武尊。
今度は面をはずして「チラシ」という剣舞を舞います。2本の刀を素早く振り回しながらリズミカルに舞う、見せどころのある締めの演舞です。

うわ〜面白かった。
それにしても、雄勝法印神楽ってどうしてこう血が沸くのかな?こちらは見ているだけなのに。なんていうか、ケレンがあるんだなー。
またみたいなと、つい思ってしまうのでした。

Y巻工房長を囲んで記念撮影。
みなさんそれぞれ良い笑顔。満足感が漂って、こちらまで嬉しくなりました。

 夜は、卸町芝能「殺生石」

○卸町芝能「殺生岩ー白頭」
日時:2012年9月1日 19:00開演
会場:卸町公園
入場料:3000円(全席自由)

シテ(玉藻ノ前の化身、殺生岩の精魂)_山中ガ晶( ガは点2つのしんにゅうに牙)
ワキ(玄翁上人)_舘田善博
アイ狂言(玄翁上人の従者)_野村太一郎

笛_小野寺龍一
小鼓_田辺恭資
大鼓_大倉慶乃助
太鼓_梶谷英樹
地謡_梅若紀彰ほか
後見_松山隆之ほか

後ろの席で少々遠目ではあったのですが、夏らしい雰囲気のもと、こんな風に「能」に触れる機会があるのはいいなと思いました。「殺生石」という演目も、丁度良い長さと構成で、上手に選んだなと。上手といえば、シテの山中ガ晶さんは昼の「こどものための能講座」の発表会でも感心したのですが、とても解説が旨い。わかりやすい前説で、演目の見どころを紹介してくれました。今後も活躍してくれることでしょう。

公演中、舞台の背景に十六夜の月が出てきました。なんだか幻想的な光景でしたよ。
そのうち、10-BOXのホームページや、雑誌・機関誌等にも紹介されると思うので、アンテナを張ってみてください。

それにしても、10-BOXの開箱10周年。
事業予算なんたらという次元でなくて、一緒にお祝いしたいモードの人も少なからずいると思うのですが、このあり方はこじんまりしすぎじゃないですかね?そういう、いままで10-BOXに支えられた人たちや、支えてきた人たちの思いを形にするようなアイディアはありそうな気がしましたが…。なんだかちょっと気になるなぁ。

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