2014年8月23日土曜日

うたとうたのあいだ

お盆過ぎに毎年恒例となっている、火星の庭での(かえるさんこと)細馬宏通さんと澁谷浩次さん(yumbo)のライブですが、今年はなんと!スタディスト・岸野雄一さん(今回はヒゲの未亡人としてではありません)が参加して、「うたとうたのあいだ between SONG and SONG」というトーク&ライブになってやってきました!


本日は豪華3本立てということで、火星の庭はじまって以来の大入りで、なんと!立ち見が出たとか、入場をお断りしたとか…。さすが大物は違います。っていうか、どこに出演者がいるか、分かります?

なにが3本立てかというと、
 1)『うたのしくみ』トーク特別編 細馬宏通&岸野雄一
 2)岸野雄一ソロ・ミニライブ
 3)細馬宏通&澁谷浩次ライブ 特別ゲスト・岸野雄一
となっております。

『うたのしくみ』トークは、さきごろ細馬さんがウェブサイト「modernfart」の人気連載「歌のしくみ」を単行本化したことにちなみ、このような『うたのしくみ』トークライブをやっていらっしゃるということで、今日のお相手は岸野さん。どんな歌を分析して欲しいかリクエストも受け付けていたのですが、選ばれた曲は…。

北原ミレイの「石狩挽歌」(作詞:なかにし礼、作曲:浜圭介)!



北海道のにしん漁の盛んだった港町の栄枯盛衰を背景に女の心模様を歌うという、いわゆる演歌なのですが、「ごめ」や「つっぽ」に「かさとまる」、さらには「古代文字」などなじみのない単語が並ぶ歌詞を、1行ごとにああだこうだと細馬さんと岸野さんが解釈していくと、必ずしも筋の通ったストーリーでもないのですが、いつのまにか波しぶきの向こうに舟の幻を見ながら北の寒風をあびている語り手の気分に…(笑)。さらに、岸野さんからは、この曲はキング・クリムゾンの「エピタフ」が下敷きになっていて、はっぴいえんどの「ゆでめん」と同じエンジニアが日本で初めてタオルを中に仕込んだドラムの音が効いているなどの、マニアックなネタも披露されて、ふと気づくともうこの1曲で小一時間そんな話を(爆)。



あとは、駆け足で、リクエスト曲は紹介がてら一言ずつ軽くなでていくというような展開に。

最後にもう1曲ということで、新生キリンジの新作から「Fugitive」(作詞・作曲:堀込高樹)が取り上げられました。どうぞ、月イチでやってください。ラジオでもいいので。

さて、第二部は、岸野雄一さんのカラオケ・ショー。
「ラーメン人生」「とんかつ一代」「ハムになろう」「正しい数のかぞえかた」
最初の曲など軍歌調歌謡ポップスですが、カラオケの押し寄せる波のようなシンセがときに上野耕路のゲルニカを思わせるところも。岸野さんの堂々とした歌いっぷりは、絶妙な語り芸も含めて、ヒゲの未亡人のチャーミングさとはまたひと味違う魅力がありました。

そしていよいよ第三部は、3年目にして12曲のオリジナル共作曲が揃って(1年に4曲ずつ)、アルバムも作れるねってことになったという、かえるさんと澁谷さんライブ。3年目ともなると曲にもパフォーマンスにも、お二人の上り調子の洗練と深みが感じられて、そうとう面白かったです。CD化を楽しみに待ってます。

圧巻は、夏休みのラジオこども相談室をネタにした新曲「スワンプ相談室」。コンセプト的にはドナルド・フェイゲンの「ナイトフライ」を元にしているそうですが、導入部はサウンド的にはドクター・ジョン風のセカンドラインのピアノのリズムと澁谷さんのダミ声ヴォーカル、途中のジングルは二人のさわやかなファルセット・コーラス、さらにお客さんからの悩み事相談を相談員カイツブリ(?)がアドリブで自在に取り入れるという盛りだくさんの曲構成。そして、岸野さんが参加して、美大生の「共感覚」がテーマの卒論から、映画「遠雷」の永島敏行(トマト栽培農家)ネタを盛りこんだ爆笑アドリブ・トークが入った「トマトジュース」も忘れずに!全12曲を完奏したあとのアンコールは、まさかの(笑)「石狩挽歌」のカヴァーで、楽しい夏休みのコンサートは終了したのでした。


会場が満杯なので、出演者はなぜか店の外で休憩タイム…。
また、来年もお待ちします。


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