2012年5月8日火曜日

平成中村座5月公演(夜の部)

5月4日の夕方、イベント会場を少し早めに抜け出しまして、黒筋の入った虫六は「いひひーっ」と雨なんかもろともせず浅草に跳んでおりました。

だってホラ、平成中村座ロングラン公演も今月が最後ですからね〜。

びっくり。前から2番目のど真ん中です。
今日は双眼鏡要らないね、持ってきたけど。
この筋書き…、6回の公演分全部揃っていれば、「中村座NEWS」ページ右下の引換券を台紙にはって出すと「特製ボックス」を進呈とのことなのですが…。あとで貼って送ればいいのかと悠長に構えていたら、「引換期間:5月公演中」「引換場所:仮設劇場・平成中村座 筋書売場」だそうで…。せっかく揃ったのに、もらい損ねた。ちい。

おお、今年最後の平成中村座よ。
GW中とあって、お客さんもびっしり。あっちのおじさんもこっちのおじさんも 場内写真撮りまくりです。


○平成中村座 五月大歌舞伎
平成24年5月3日(木・祝)~27日(日)

【夜の部】
一、歌舞伎十八番の内 毛抜(けぬき)
粂寺弾正  中村 橋之助
腰元巻絹  中村 扇 雀
秦民部   中村 錦之助
小原万兵衛実は石原瀬平  市川 男女蔵
小野春風  中村 国 生
錦の前   坂東 新 悟
八剣玄蕃  片岡 亀 蔵
秦秀太郎  市村 萬次郎
小野春道  坂東 彦三郎

二、志賀山三番叟 上演口上
中村 勘三郎
中村 小山三

江戸随一 志賀山三番叟(しがやまさんばそう)
三番叟  中村 勘九郎
千歳  中村 鶴 松

三、梅雨小袖昔八丈(つゆこそでむかしはちじょう)髪結新三(かみゆいしんざ)
髪結新三  中村 勘三郎
家主長兵衛 中村 橋之助
下剃勝奴  中村 勘九郎
車力善八  片岡 亀 蔵
娘お熊   坂東 新 悟
加賀屋藤兵衛  市川 男女蔵
後家お常  市村 萬次郎
弥太五郎源七  坂東 彌十郎
手代忠七  中村 梅 玉

虫六は時代がかったやつは好きなので「毛抜」なんかは面白いし、この中村座のお芝居も面白くみたのですが、他の人の粂寺弾正をみると、やはりこういう天真爛漫な役は團十郎のが面白いんだなぁと認識を新にするところがありますね。

「志賀山三番叟 上演口上」は、勘三郎丈が歴史的最年長現役俳優(女形)・小山三さんを引っ張り出して、会場内あったかいものになりました。小山三さん、長生きしてね。お話もこの古い三番叟の蘊蓄話も織り交ぜ、襲名の口上とはまた違って面白かったです。志賀山って流派は、現在の藤間とか花柳とか西川とかが別れる前の元になった古い流派だそうです。鈴を持って踊るけどこの鈴は音を鳴らしてはいけないとか、いろいろと所作の決まり事があって派手さはないが難しい踊りなのだそうです。

で、踊り手は勘九郎と、なんと(!)鶴松。大抜擢ですな。

そうなんですよ〜、いつもなら相手方は七之助というところですが、彼は此の時間染五郎丈と新橋演舞場で「通し狂言 椿説弓張月(ちんせつゆみはりづき)」にご出演中…(遠い目)。「椿説弓張月」といえば、三島由紀夫が書いて玉三郎丈のカリスマを決定的にした伝説の演目!そうとう後ろ髪を引かれる公演ですが、身体は2つ無いので泣く泣く諦めました。そして、よくよく見れば染五郎丈も昼の部で「弥生の花浅草祭」にご出演なさっているんですね。お互い2人で掛け持ち出演しているわけね。
このコンビで「桜姫東文章」なんてどうですか?松竹さん!(串田さんの変わった演出じゃない方でお願いします)

話は戻りますが、鶴松君の踊りが良いのですよ〜。身体の動きといい、緊張感といい気持ちがいい。いまノリにのってる勘九郎丈を相手に遜色がないのはエライ!
このまま上手に伸びて欲しいです。期待しております。
鶴松君はいま高校三年生だそうで、いろいろ過渡期でもあり学校も忙しいそうですが、この道で精進して欲しい。どう成長するか本当に楽しみな役者さんです。虫六的には女形になって欲しいところですが、顔かたちが変化する時期でどうなるか…。

それからこの舞踊では清元が延寿太夫、長唄の立唄が杵屋巳津也師匠でした!巳津也師匠の爽やかな歌声がこの若いふたりの踊りにマッチしていて、とても良かったです。
巳津也師匠はもう中堅どころなのではありますが、長唄界きってのイケメンと虫六が秘かに番付けしているお方です。どのくらいかっこいいかというと、お父様が俳優の山口崇さんと言えばある年齢以上の方なら想像していただけることでしょう。見た眼もさることながら、細身の身体からよくぞその声量が…と思う爽やかな唄いっぷりがかっこよいし、声質も好みです。注目の唄方さんですよ。

「髪結新三」は、勘三郎の襲名公演以来ですかね。勘三郎は世話物のワルをやると色っぽいですね。だいぶ調子が戻って来ているのかな…と嬉しくなりました。梅玉丈も平成中村座初出演!!
それにしても今回は橋之助の家主長兵衛に持ってかれてしまいました。ご馳走の漫才見てるみたいで面白すぎる。このチャリ場は沸きましたわ〜。勘三郎も勘九郎(下剃勝奴)とか笑いこらえていたりするのが分かって、客席のこちらまで吹き出してしまいました。こういうのは中村座のような小さい芝居小屋ならではの雰囲気でしょうね。
黒御簾からは「越後獅子」の合方が流れてきて、また嬉しくなりました。



そんなわけで、横隔膜の運動も充分にして(ひいぃい)、今年最後の平成中村座をあとに…。うわぁ、ホントに最後だよ〜。
来年の今頃はまだ歌舞伎座はできていないようなので、もう一回ロングランやってくれると良いですが…。勘九郎の襲名巡業もあるから、どうなりますか…。

まずはお疲れさまでした。

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