2011年11月9日水曜日

平成中村座11月大歌舞伎 夜の部「沼津」ほか

6日、紀尾井町の某ホテルで昼過ぎまでのんびり過ごし、先生方とお別れして、黒い欲望を隠し持っていた虫六がやってきたのは、浅草です。

ふふふ…( ̄ー+ ̄)
そう、今月から浅草隅田公園では「平成中村座11月大歌舞伎」が掛かっております。
勘三郎丈、満を持して(?)東京に大復帰の舞台であります。待ってました!!!しかも、今月付き合うのは(!!)片岡仁左衛門丈!!!!(*≧m≦*) 
観に行かない理由が思いつきません。


何はともあれ、お浚い会の無事の終了を浅草の神様仏様にご報告がてらお礼参り。浅草寺にも観光客が戻ってきたようです。

浅草寺のウラから隅田公園に歩いて行く途中で、猿若町の看板を発見。ここら辺にあったんですね、芝居小屋は…。隅田川はすぐそこです。

あ、太鼓やさんのトラック発見!

芝居小屋も近いですかね?

ちょっと雨模様ですが…、提灯やら幟やらが見えてきて、テンションが上がってきました。

平成中村座の提灯。ロングランの間、ずっと沿道を照らすのでしょうか…。

酒樽も例によって積み上がっております。
入り口付近で、好江夫人と愛夫人がお出迎えしておりました。

なんと〜。花道の脇ですねん。
しかも、平場の一番後ろなので、虫六の席のすぐ後ろに階段がセットされております!!!
「沼津」で、十兵衛(仁左衛門)と平作(勘三郎)が花道にあがる階段ですよ〜。ということは、お二人が私めの真後ろで一芝居するってことですよ。うっ!(…しばし気絶)

そんなわけで、夜の部は…

一、猿若江戸の初櫓(さるわかえどのはつやぐら)

   猿若     勘太郎
   出雲の阿国  七之助
   奉行板倉勝重 彌十郎


二、伊賀越道中双六(いがごえどうちゅうすごろく)
    「沼津」

   呉服屋十兵衛 仁左衛門
   お米     孝太郎
   池添孫八   彌十郎
   雲助平作   勘三郎


三、弁天娘女男白浪(べんてんむすめめおのしらなみ)
    「浜松屋より勢揃いまで」

   弁天小僧菊之助 七之助
   南郷力丸    勘太郎
   赤星十三郎   新 悟
   浜松屋伜宗之助 国 生
   忠信利平    彌十郎
   日本駄右衛門  橋之助

よく言われますが、平成中村座は本当に役者と観客の距離が近くていっしょにお芝居を作って行く感じがストレートに伝わるエネルギッシュな磁場を持つ芝居小屋です。
何もかも近いんですよ。

「猿若〜」は、勘太郎丈の踊りの巧さが冴える舞台。こういうきびきびした踊りがよく似合います。勘九郎襲名を控え、勘三郎の代役をこなしての大きな成長、また長男誕生と、公私ともに充実の勘太郎丈。脂がのっているってこういう状態をいうんですね、きっと。
七之助丈も頑張っていました!が、お役的に猿若の方が見せ場が多いので、ま、支えにまわったと言うことで。
この舞踊の演奏はなんと「直吉・勝国」でして、先月の玉三郎公演に引き続き…、ありがたや〜!嬉しくて、思わず新幹線で帰仙中の先生にメール打っちゃいました。
しかし、どうもこの小屋は地方さんにはちょっと厳しいかもですね。音楽があまり響いてこないような気がしました。しかも、(以下ネタばれ注意!)踊りの最後にバックヤードを開けて、屋外を借景で見せる演出は、「現代の猿若」って印象もうけるし視覚的には効果がありますが、長唄の演奏はかき消されて超残念 (;´д`) 
「勝国さぁん、虫六は悲しかったよ〜」

「夏祭浪花鑑」のようなお芝居ならベリーグッドなラストシーンと思いますが…。なんでもあけばいいってもんでもありませんよね。

「沼津」は、勘三郎丈の本格復活のお芝居でもあり、仁左衛門丈との共演でもあり、眼福。仁左衛門の十兵衛が当たり役ってのはよく知られているところで(カッコ良すぎますから〜)今さら何も言うことはないのですが、勘三郎の平作もこれから何度も演じられていくのでありましょう。コメディみたいなのに、目が笑っていなくて、物語最後の悲劇にきっちり繋がっていくところが、役者の巧さを感じさせました。
それにしても、虫六の観劇癖が加速したのは、3年前の平成中村座「仮名手本忠臣蔵」で、間近30センチくらいで仁左衛門丈の大石内蔵助を拝見して以来、どうも自制心というブレーキが効かなくなっているんですよね…。「沼津」は役者が舞台から客席の方まで降りてきて、お芝居しながら花道に戻っていく演出が面白いわけですが、今回も後ろや脇や上の至近距離でお芝居が展開されて、夢空間のようでした。
勘三郎丈も1ヶ月公演は大変でしょうけれども、無理しない程度に、身体を慣らして、ずっと末永く現役でいて欲しいと、本当に心から祈念した次第です。

最後は、七之助の弁天小僧で「弁天娘女男白浪」。とかくお兄ちゃんの勘太郎丈の活躍ばかりが評価される昨今ですが、七之助丈の成長も見るたびに著しいなぁと思うのです。今回の弁天小僧もスッキリしたイケメンぶりが、そうなんだよな、弁天小僧ってイキがった美少年なんだよな〜とリアルな説得力を感じました。
そして、この人は六代目菊五郎の曾孫であった(!)と、これまた納得。(←いえ、六代目のことは見たこともないんですが…)
勢揃いの見栄では、すこし力みが入って、「ばり」というか夾雑な印象が気にはなりましたが、そこは伸びしろ、もっと洗練していってくれると思います。
今回、七之助丈は昼の部でも女役ではありません、真女形でいくか兼ねる役者でいくか…なんてことも考えていたりするのかなぁ?あ、ちなみに七之助丈も間近で拝見しましたが、文句なく美しかったですね。
勢揃いといえば、新吾丈が大役でちょっと緊張しているのが伝わってきました。傘を持つ手が…。つい昨日、自分も経験したので、(比較にはなりませんが)このようなサラブレットでも舞台では緊張するのかと、なんだか応援したい気持ちになりました。
それからそれから、「弁天娘女男白浪」の下座三味線は越後獅子の合方だったのですね。そんな発見があって、ウキウキしました。個人的に…。


夜の部ひとりで、あとは宿に帰って寝るだけなので、「平成中村座」の今月の特製弁当を予約してました。松茸ご飯や風呂吹き大根を器した炊き合わせとか、全て美味しかった。1800円と多少高いなと思ったけど、仕事がしてあるお弁当だったので納得しました。
月替わりなので、またの機会があったら、また食べよっと。

それから、今回凄いと思ったのは「おトイレ」ですね。
10年で10倍になったとか言ってましたが、トイレ不足を完全に克服、順番待ちの長い列を淀みなく進めるおトイレ担当スタッフさんのオペレーションが凄い!幕間の混雑をうまく回避して、開演前に観客を席に戻していました。感心しました。

というわけで、明日は昼の部レポートです。


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